西村早生

来歴

滋賀県大津市坂本本町の西村弥蔵氏のカキ園の生垣中に生えた偶発実生で、一九五三年（昭二八）に初結果したもの。

その特性からみて「富有」と「赤柿」の交雑実生と思われる。

一九六○年（昭三五）に種苗登録された早生品種である。

特性・その他

原木は矮性で樹勢も弱いが高接すればかなりよく伸長する。

樹姿は開張性で、枝梢は「富有」よりやや細く、下垂しやすい傾向がある。

葉や花は「富有」に似ており、発芽期や開花期

も「富有」とあまり変らない。

果実の大きさは一八○〜二○○ｇ

早生種としては大果で、王ぞろいもよい。果形は扁乎な御所型で果皮の色は橙色、果粉多く外観は美しい。

不完全甘ガキでカッパン多く、肉質はやや粗いが甘味はやや多い方で、品質は「赤柿」にまさる。

種子三個あればほぼ完全に脱渋するが、人工授粉は必要である。熟期は九月下旬〜十月上旬で極早生種として各地で注目されている。

雄花をわずかに着生する性質がある。

果樹〈カキ〉

ボルドー液の薬害を受けやすく、樹勢が充分でないので適切な栽培管理が必要である。

やや密植にして施肥量も多めに施し、排水のよい地力のある深い土壌に栽植したい。

既成園に高接ぎして増殖するのが最も有利であろう。